インシデント事例紹介とその対策~ネットマナーとメールリテラシ編<事例>~
 近年、インターネットは、ビジネスのツールとして、あるいはコミュニケーションのツールとして、積極的に活用されるようになりました。
 インターネット利用の最大の特徴は、文字や画像という手段によって情報の提供や交換が行われ、相手の顔が見えないということです。しかし、情報を提供、交換している主体は人間同士です。したがって、実社会にマナーがあるように、インターネットの社会にもマナーがあります。
 「ネットマナーとメールリテラシ編」では、メールの送受信等に必要となるネットマナー(ネットワーク利用におけるマナー)について学びます。
挿絵
円滑かつ円満なコミュニケーションを行うために、通常のビジネスと同様、ネットワーク利用におけるマナーである「ネットマナー(ネチケット)」が存在します。ネットマナーの中には、単に「知らなかった」では済まされないものもあります。実際にどのようなトラブルが発生する可能性があるのでしょうか。
CC:、BCC:の誤使用による個人情報漏えい
多数の人に同一内容のメールを送りたい。このような場合、宛先メールアドレスをCC:やBCC:に指定した一斉同報メールは非常に便利です。しかし、CC:、BCC:の使い分けを適切に行わなかったことによるトラブルが多発しています。
事例:メール誤送信での個人情報漏えい(2008年12月)

子ども向け番組を提供しているK社が、番組オーディションへの応募者に対して結果を発表するメールを送った際、誤ってアドレスが表示された状態となったことがわかった。誤送信が発生したのは、番組オーディションへの応募者に対し送られた結果発表に関するメール。同社によれば、従業員が一斉送信した際、誤って応募者615人のメールアドレスが表示された状態になったという。
メールアドレスが第三者に流出するだけでなく、メールの内容によっては、プライバシーの漏えいにつながることもあります。
迷惑メール(スパムメール)
迷惑メール(スパムメール)とは、宣伝や嫌がらせなどの目的で不特定多数に大量に送信されるメールのことです。他人に迷惑をかけたり、不快感を与えたりし、メールそのものの配信を制御できなくなるため、その扱いには注意が必要です。
チェーンメール
代表的な例が「このメールの内容を、できるだけ多くの友人、知人に教えてあげてください」などの意味合いの文章を含む「不幸の手紙」です。メールを転送することで次の転送が発生し、無限に転送の連鎖が続くため、チェーンメールと呼ばれます。
  • 何気なく転送したメールが「面白いから」という理由でチェーンメール化する場合もある
  • インターネットねずみ講の場合、詐欺などの被害に発展する可能性もある
  • 善意による転送でも、膨大なチェーンメールとなり混乱をまねく
たとえ、メールの内容が事実で、善意による転送だったとしても、メールは手軽に送信できるため膨大な量の転送が発生する可能性があります。転送の広がりを人の手で制御することは不可能に近く、情報の混乱やネットワークのトラフィック過多など、二次的なトラブルを招く可能性があります。
大量のメールを一斉送信する
大量のメールの一斉送信は、ネットワークのトラフィック過多を引き起こします。新商品やイベントの案内を複数の顧客に送るためメールの一斉送信は、ビジネスの場でよく行われています。しかし、度を超えた使用や悪意のある目的での使用は、インターネット環境に悪影響を及ぼします。

特定のメールサーバへの攻撃や、特定の企業に対する嫌がらせが目的などの、悪意から行われるものもありますが、通常の使用でも、一斉送信メールの誤送信により、そのつもりがなくても結果的にスパムメールになってしまう場合があります。
  • 宛先アドレスの指定に不備があり、大量のエラーメールを発生させる
  • お客様への案内メールを書いている途中でうっかり送信してしまい、その後完成したメールを送りなおすと、予定の2倍のメールがネットワークを通過することになる
迷惑メール(スパムメール)図
ウイルスのデマ情報
実際には存在しないウイルスが、実在するかのように信じさせる内容のデマ情報が記載されたメールを「デマウイルス」と呼びます。チェーンメールの一種といえるでしょう。
  • 情報の出所を大手企業にするなど、信憑性の高い文章になっている
  • 「友人、知人にもこのウイルスの情報を知らせましょう」などの文章が書かれているため、チェーンメール化する
  • ウイルスが実在すると思い込み、パニックを引き起こす可能性がある
ウイルスのデマ情報例
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