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セミナー2001年
16日報告
「情報セキュリティ〜信頼の確立と今後の展望 」

 経済産業省商務情報政策局
 情報セキュリティ政策室長
 東井 芳隆


通産省機械情報産業局情報産業企画官、情報政策企画室長を歴任し、官公庁で情報セキュリティの第一人者である東井氏(現国土交通省大臣官房企画官)。4月1日に施行され、電子署名の法的効力、電子認証業務の認定制度を定めた電子署名法を始めとする、セキュリティ評価、セキュリティマネジメント、暗号評価等のセキュリティ制度の現状と、今後の政策の方向性について解説して頂いた。

1年間で145%もの伸びを示している日本の電子商取引市場。米国に比べるとまだまだ開きはあるものの、2005年にはB2B(企業間の電子取引)で111兆円にもの市場規模に達するとの予測がされており、市場の成長に伴って不正アクセスやコンピュータウィルスなどの被害件数も増加している。中でも官公庁のサイトが改竄された事件は、クラッカーの自己満足的ないたずらというよりも、政治的なメッセージの発信を目的としたクラッキングであり、いわば改竄そのものが犯罪のアピールツールになりつつある、憂慮すべき事態となっている。

このように社会問題化しているセキュリティにどう対応していくか。IT革命の恩恵を全ての国民が享受でき、かつ国際的に競争力ある「IT立国」の形成を目指すために設立された「IT戦略会議」では、5年以内に世界最先端のIT国家とすることを目標とする「e-Japan計画」を推進している。この計画の中には、政府で使用する暗号の標準化や、セキュリティの専門家の育成など具体的な課題も多く盛り込まれている。

ブロードバンド、IPv6、常時接続という3本の柱に支えられる次世代インターネット時代には、デジタル家電やICカード、ウェアラブルパソコンなど新しい情報財・サービスが広く普及していく。今年3月に世界情報通信サミットで中心的なテーマとなった「ユビキタス(同時にいたるところに存在する)」がコンピュータ・ネットワークの大きな特徴となると同時に、それによってもたらされる新しいセキュリティ上の脅威も世界的にクローズアップされてきている。欧州評議会でもサイバー犯罪に関する問題を討議しており、産業界と合意を得ながら、一般のユーザに安心して次世代インターネットを使って頂けるよう、セキュリティ問題に今後も対処していく方向である。


近くNPO(民間非営利組織)となるJNSAの今後の活動に注目していきたい。

ソフトバンク・コマース株式会社
マーケティング本部
木戸 参春

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