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セミナー2001年
16日報告
「データセンターのセキュリティ対策」

 NTT東日本法人営業本部
 システムサービス部 主査
 白石 涼子


〜社会基盤として、制度として、そして技術は〜と題して、5月16日と17日の2日間に渡って開催された。初日はあいにくの空模様であったが多数の来場者で会場はいっぱいとなり、ネットワークセキュリティへの関心がさらに高まっていることを感じさせた。基調講演の後、トラック2では「データセンターのセキュリティ対策」と題して、NTT東日本法人営業部 システムサービス部主査の白石涼子氏がデータセンタ事業の現状や動向などを解説した。

これまでデータセンタとは、企業システムにおいてデータを集中管理するためのシステム要素とされていた。しかし現在では、インターネットをビジネスに活用しようとする企業のサーバを預かり、運用を引き受ける事業をさすようになった。センタ内に設置されたサーバは当然インターネットに接続されるため、この種のセンタはインターネットデータセンタ(IDC)と呼ばれることもあったが、現在ではこちらを単にデータセンタと呼ぶこともあるようである。IDCは米国において1995年頃から注目され、日本国内においても1999年末頃からサービスを提供する事業者が現れはじめた。白石氏によれば、国内事業者は、大手ベンダーをはじめシステムプロバイダ系、通信事業者系など50社を超えており、国内におけるデータセンタの総床面積は約9万5千平方メートル、収容可能サーバは21万台を数える。

このように国内においても規模が拡大しているIDCであるが、その動向を把握する資料として白石氏は、AFCOM(注1)のData Center Institute(注2)のデータを紹介した。それによると2001年度におけるデータセンタの予算は60%の企業が増加すると答え、そのうち約半数が6〜15%増加すると答えている。また、データセンタへの投資の種類としてはストレージが一番多く、次いでパフォーマンス管理、OSと続く。セキュリティへの投資は7項目中5番目と低く、これがデータセンタにおけるセキュリティへの関心度の低さを直接示すわけではないものの、気になるところである。

白石氏はデータセンタ選定のポイントとして、6つのポイント(注3)を挙げ、それぞれの項目について例えば回線についてはインターナショナルなビジネスを展開するなら海外との接続環境、総合力についてはセンタ側のシステム構築やDataBase等のスキル、といった感じで具体例を交えながら選定ポイントを解説した。6つのうちセキュリティに関しては、物理的な堅牢性はもちろんのこと、ウィルスやSPAM Mail、Dos攻撃といったネットワークを介しての脅威への対策に関して明確な方針・手段が打ち出されていることが重要であるとした。また、総合力の項目において、かつてはオプションサービスであった不正アクセス監視が現在では基本サービスとなっていることなどが紹介された。

次にデータセンタのサービス形態としてホスティングとハウジング(注4)の2形態の紹介とデータセンタのシステム構成例、そしてデータセンタを取り巻く脅威の例とその対策の説明がおこなわれた。詳しい内容については割愛させていただくが、対策についてきめ細かく具体的に説明があり、熱心に資料にメモをとる参加者の姿も見受けられた。さらにService Level Agreement(SLA)という、サービスの信頼性をはかる指標の米国での事例が紹介された。SLAにはシステムの稼動時間保証やネットワーク遅延時間の限度保証などがあり、国内においてもiDCイニシアティブ(注5)がSLA標準化に取り組んでいることが紹介された。最後に白石氏は、データセンタについて事業者、利用者の双方が意識しなければならないポイントを2つづつ挙げ、セッションを締めくくった。

株式会社ラック 不正アクセス対策事業本部
田野 広李


(注1)
AFCOM
世界の主要企業の情報システム部門担当者で組織するユーザ団体。
http://www.afcom.com

(注2)
Data Center Institute
AFCOMによって設立された組織。データセンタ上級管理職が会員となっている。

(注3)
6つのポイント
立地条件、回線、拡張性、運用・管理体制、総合力、セキュリティ

(注4)
ホスティングとハウジング
ホスティングはセキュリティを含めた運用管理責任の大半を事業者が有する代わりにユーザの自由度は低く、ハウジングはユーザーがデータセンタにサーバを持ち込んでサービスや環境構築、運用を実施する。自由度は高いが、ほぼ全てが自己責任となる。

(注5)
iDCイニシアティブ
データセンタビジネス推進を目的として平成12年10月に設立
http://www.idcinit.com

*上記内容は白石氏の講演資料より抜粋

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