★☆★JNSAメールマガジン 第89号 2016.6.24.☆★☆

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JNSAメールマガジン 第89号 をお届けします。

東京は梅雨に突入してすっきりしないお天気が続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょう?
JNSAでは先週2015年度活動報告会を行いました。資料は近日中にWebページで公開予定ですので今しばらくお待ち下さい。
また、IoTセキュリティWGでは、本日「コンシューマ向けIoTセキュリティガイド」を公開しました。ぜひご覧下さい。
https://www.jnsa.org/result/iot/ さて、今回のリレーコラムは、一般財団法人日本サイバー犯罪対策センターの坂 明様に「サイバー犯罪との対決」をご寄稿いただきました。

【連載リレーコラム】
サイバー犯罪との対決

(一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター 理事/坂 明)

以前、米国への出張の際、飛行機の中で「イコライザー」という映画を見た。普段はホームセンターに勤務し穏やかに暮らす元 CIA 工作員が、マフィアに利用され傷つけられている少女を助けるために、一人で組織と闘う物語だった。温厚でユーモアもある昼の顔と、悪人を瞬殺し巨大組織を壊滅させる破壊力を有する夜の顔の差が印象的だった。

先頃、米国で「彼が米国最高のサイバー犯罪捜査官だ」と皆が言う方にお会いする機会があった。周囲の方々は、米国のみならず世界最高のサイバー捜査官として彼を誇りにしている様子だった。長身で、ザクッとしたシャツをカジュアルに着こなし、本当に穏やかな、暖かい笑顔で、私に語りかける。その彼が、FBI の歴史の中でも最も大きなサイバー事件を次々と手がけ、今も闘っていることを聞くと、血がざわめくのを感じた。映画「イコライザー」の主人公のようではないか。

イコライザーの主人公は、一人で闘っていた。しかし、「米国サイバー捜査官」は多くの人々と共に闘っている。共闘する方々がそれぞれの持ち場で闘っている。彼が取り組んでいた事件の中には、日本でも多くの方々が協働した事件もある。日本でも、お子さんと共に時を過ごし、地域で活躍し、運動で汗を流し、二次元で萌えているような方々が、このサイバー犯罪との戦いが一たび山場となれば、寝食を忘れてその力を尽くされた。

日本サイバー犯罪対策センター、略称 JC3(Japan Cybercrime Control Center)は、2014年11月から業務を開始した。これまでも多くの方々が力を合わせ、情報を共有してサイバー脅威に対抗してこられたが、JC3は、そうした取り組みを補完し、またそうした方々と協力しながら、産学官(特に官の中でも法執行機関である警察)が協働してサイバー脅威を特定・軽減・無効化するための活動を展開することを目的としている。このような、活動する方々が、場を共有し、信頼関係に基づいて共にサイバー犯罪に立ち向かい、その得られた知見を自らと社会を守るために活用していく仕組みは徐々に広がりつつある。そこに法執行機関も加わり、司法的な追及も行っていくような仕組みが、JC3のモデルであるNCFTA(National Forensic and Training Alliance) である。NCFTA 自体も2016年にロスアンゼンルス、ニューヨークに支部を設置することになり、またインターポール(ICPO,国際刑事警察機構)も、シンガポールに IGCI(InterpolGlobal Complex for Innovation)を設置し、2015年から正式に活動を開始した。IGCI は 捜査機関と民間のエキスパートが 共に犯罪の追及やデータの分析に取り組み、日本企業も協力して Simdaボットネットに対する作戦などの成果を挙げている。欧州の警察の連携組織であるユーロポールも EC3(Europol CyberCrime Center)で官民連携を進め DD4BC 事件などを検挙している。日本のJC3もこのような取り組みの一つと言え、検挙に関する実績としては、海外サーバの検挙事案(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H9C_W5A121C1CC1000/など)のような事案がある。

JC3では、会員間で定期的な情報共有の場を設けると共に、特定のテーマについて深く検討するためのプロジェクトも進め、サイバー犯罪の実態の把握とその対策の検討を行っている。現在は、金融犯罪と情報窃取を重点に取り組んでいるほか、マルウェアの分析、米国 NCFTA との連携も進めている。

先日、長らく NCFTA の活動を支えてこられた方から「我々は本当に多くの間違いを犯しながらここまで進んできた」と言われたのを受けて「JC3は、今、正に間違い、それを正しながら前進しているところです。」と お答えした。日々チャレンジ、というのが、おそらくこうした組織の特質なのだろう。関係の方々にお会いして思うのは、その前向きな姿勢だ。多くの方々の熱意と取り組みが脅威の無効化という形になることを期待すると共に、 JC3もそのために貢献する活動を展開していければと思う。


#連載リレーコラム、ここまで

<お断り>本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。


【部会・WG便り】

★セキュリティ被害調査ワーキンググループでは「2015年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書(速報版)」を公開しました。
  https://www.jnsa.org/result/incident/ 
 「2014年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」も同時に公開しました。
  https://www.jnsa.org/result/incident/2014.html

★SECCON九州大会・CTF for ビギナーズ 2016 博多参加者募集中です。
 SECCON九州大会(Iot CTF)は今年度最初の地方予選〔学生限定)です。
 ぜひ多くの方の御参加をお待ちしています。
 http://2016.seccon.jp


★人材育成検討会によるJNSAインターンシップ実施中です。  現在8社がインターンシップの募集を行っています。JNSA会員の方でしたらどなたでもJNSAインターンシップの仕組みを御利用いただけます。
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発信日::2016年6月24日
発行: JNSA事務局 jnsa-mail
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