< もどる トップへ
共催者インタビュー 第10回(2007.5)
NPO法人仙台インターネット推進研究会(宮城県)

今回は、NPO法人仙台インターネット推進研究会さんの取り組みを紹介します。同研究会では、活動10周年記念のイベントに合わせてインターネット安全教室を開催されました。当日は10周年記念の各イベントの中で最も多くの参加者を集め、非常に好評を得たそうです。インターネットの黎明期からその変遷を目の当たりにされ、かつてはご自身もサーバー管理者としてセキュリティ対策で苦い思いを体験された代表理事 北川靖氏は、今後は、Webセキュリティやサーバーの安全管理、さらにはネットワーク上のマナーなどまでテーマを広げていきたい、と意欲を示されました。
活動10周年の記念イベントに合わせて開催
Q:インターネット安全教室 実施までの経緯について教えてください。
  直接のきっかけは、2005年夏にJNSAさんからインターネット安全教室の開催を呼びかけるメールをいただいたことです。それまで東北地区での開催が1カ所しかなかったそうで、是非とも共催団体として協力してもらえないかとのことでした。

 仙台インターネット推進研究会がそれまで行ってきた活動では、セキュリティも主要なテーマの一つでしたし、私達が毎年春に開催している「せんだい・みやぎインターネットアワード」と合わせて開催すればタイミングも良いのではということになり、話が進んでいきました。しかも、2006年は研究会の活動10周年に当たる記念の年でもあったので、それまでより大きな会場を借りて、3月24日の丸一日をインターネットデイとして複数のイベントを開催する計画でした。その記念行事としてもまさにぴったりということで、共催させていただくことなりました。

 その後も継続して安全教室を開催しましたが、人口12万人(現在は合併で16万人)の上田市では集客が難しいのか、あまり参加者が集まりませんでした。その反省を踏まえて、平成18年度からは市の教育委員会で行っている「出前ときめきの街講座」のプログラムとしてインターネット安全教室を登録し、市内の自治会・育成会などにPRを行いました。自治会や育成会では地区の住民向けに学習会などを毎年行っているため、そこに組み込んでもらうことで、より多くの方に参加していただけるようになりました。自治会などから依頼があると、当センターの職員がパソコンやプロジェクターなど機材一式を持って、公民館などに出前で講座に行きます。教育委員会の出前講座事業ですので、講師料などは全て無料です。
100名以上が参加した最も人気のイベント
Q:教室を開催されての反響はいかがでしたか?
 研究会では以前からセキュリティ関連のセミナーも何度も開催してきていました。しかし、その多くはサーバー管理者の視点でのセキュリティがテーマになっていましたので、一般の方にはハードルがかなり高いものでした。サーバー管理者やWeb製作者の視点は、サーバーやネットワークへの不正侵入対策として特定のプロトコルを使用させないとか、特定ポートを閉じるといった高度な対処法の解説になってしまいます。これに対して、一般の方のセキュリティというと、やはりウイルス対策などメール経由の脅威が中心です。それを同じように扱ってしまうと、受講者の間でどうしてもかなりの温度差が出てしまいます。現在では、参加者の対象を分けてテーマ別に開催していますが、一般の方に向けたセキュリティ・セミナーの場合、やはりレベルをどのあたりに置けばよいのか迷うことがありました。

 その点、インターネット安全教室の場合は、一般の方の中でも、特に初心者に向けて注意点や対処法などを具体例を交えて分り易く解説しているので、今回のイベントに参加された方々にはぴったりだったようです。正直に言えば、開催前はあまり人が集まらないのではと思っていたのですが、実際、蓋を開けてみると非常に反応は良かったですね。当日は10周年の記念としてインターネットアワード、ブログの最新活用術、地域安全マップの作成といったイベントも開催したのですが、中でもインターネット安全教室には100名以上もの参加があり、全イベントの中で最も参加者が多かっただけでなく、人気も高いイベントになりました。
Q:集客のために何か工夫をされましたか?
 今回、集客のために特別なことをしたわけではないのですが、研究会でセミナーなどを開催する場合、いつも活用しているのが研究会のメーリングリストを通じての呼び掛けです。加えて仙台市の他団体のメーリングリストも活用させてもらい、研究会でイベントの告知を配信すると共に、チラシを作成して大学や学校関係に置いてもらいました。

 インターネット安全教室に参加された方の内訳ですが、学生さんから、お年寄りの方、ビジネスマンの方、女性の方と非常に幅広い層からほとんど満遍なく参加がありました。実感としてはやはりウイルス対策に一番の関心を持たれていたようです。質疑応答の時には、最近、目立ってきているスパイウェアやスパムメールへの対処法を尋ねている方もおられましたね。
次回はNPO団体の共同イベントで開催を予定
Q:今後の「インターネット安全教室」への取り組みについて
毎年秋に仙台市のNPO団体が集まって共同イベントを開催しています。これまで当研究会としての参加はなかったのですが、2007年度は初参加すると共に、次回のインターネット安全教室の開催を併せて予定しています。

私達の研究会が活動を行ってきた10年の間にインターネットは特別なものではなく、誰でもが手軽に利用できるツールとなりました。しかも、これほどまで急速に広まったメディアは他にはないと思います。研究会では毎月一回、定期活動として独自セミナーを開催しているのですが、そのテーマとしてこれまで何度かセキュリティを扱ってきました。当初は、私達もそれほどセキュリティの知識はありませんでしたから、地元企業のサーバー管理者などをパネラーに招いて話をしてもらいました。私もかつては企業でサーバー管理を担当していて、2002年にはサーバーをハッキングされて大変な目に遭ったことがあり、その体験を話したことを憶えています。それからわずか5年ほどで、セキュリティの重要性が広く浸透してきた一方で、一般の方とビジネスでコンピュータやインターネットを使用する方とのギャップはより大きくなっています。また、ネットワーク上の犯罪やマナーなど、法や文化が追い付いていないといった問題も浮上しています。そこで、今後に扱うテーマも、Webセキュリティやサーバーの安全管理といった技術的な課題を掘り下げると共に、ネットワーク上のマナーなどまで広げて扱っていきたいと考えています。JNSAさんにもカテゴリー分けした教室の開催などについても検討してもらえるとありがたいですね。
Q:仙台インターネット推進研究会さんの活動について教えてください。
 仙台インターネット推進研究会は1996年1月8日に任意団体としてスタートしました。当時は仙台に本拠を置くインターネット・プロバイダ事業者がなく、OSもWindows95でしたからインターネット接続の設定作業も非常に大変な時代でした。そこで、研究会をスタートする一年ほど前から、プロバイダ事業を手掛けられないかと仲間3人で活動を始めていたのです。結局、プロバイダ事業は設備投資などがネックとなって断念したのですが、その活動をきっかけに研究会を発足しました。その後2002年4月に特定非営利活動法人の認可を受け、現在ではメーリングリスト・メンバーで300名以上、NPO法人所属のメンバーとして32名の研究員を抱える大所帯に発展しています。

 当研究会は「知識は行動に理論は創造に」をモットーに、新しいビジネスモデルとして「仙台モデル」を提唱しています。これは、従来の企業によるビジネス創造に対し、ユーザー自ら欲しいと思うもの、便利と思うコンテンツやサービスを企画しようというものです。自由闊達な雰囲気のもと、利害関係のない個人が集まって、これまでにないサービスや商品を生み出していくことを目指しています。具体的には、一人の研究員が考えたアイディアやコンセプトに別の研究員がアイディアを付加したり賛同協力して、研究や知識をどんどん向上させていきます。発案したサービスやコンテンツ、アイディアがビジネスとなるのであれば、発案者の研究員が知的所有権を有して事業化できますし、実際すでに複数のコンテンツが成果として誕生しています。私たちの提唱する「仙台モデル」が、今後の日本のビジネス創造の新しいモデルとなることを願って、さらに取り組みを発展させて行きたいですね。
名称: NPO法人仙台インターネット推進研究会
URL: http://www.slabo.or.jp/
住所: 宮城県仙台市青葉区本町1-14-20 本町キクタビル2F
(株式会社データウェイシステムズ内)
TEL: 022-214-6627(代表)
E-mail:
トップページへ