★☆★JNSAメールマガジン 第34号 2014.5.2.☆★☆
シンギュラリティ、技術的特異点、または、2045年問題といわれる話題があります。6月に公開される、ジョニーデップ主演の映画「トランセンデンス」のテーマにもなっています。
一言でいうと、コンピュータが本当に「考える」ようになる、ということです。すでに、コンピュータが、将棋のプロ棋士に勝つようになってきましたが、それはプログラムで「考えているかのように」見せているだけで、本当に「考えて」いるわけではありません。
コンピュータが、ひとたび、人類200万年の進化の賜物である「脳」と同等になれば、さらに進化を続け、人類の知性を超えることも容易だろうと考えられています。
マトリックスやターミネーターなどの映画もありましたので、「どうせ、SFでしょ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ところが、極めて近い将来に実現するだろうと言われているのです。
すでに米国では、シンギュラリティを専門に研究する大学が設立されています。また、米国国防総省が助成するシナプス・プロジェクトでは、人間の脳と同じ容積、消費電力、ニューロン(神経細胞)数を持つコンピュータを開発中です。
欧州では、準備段階のプロジェクトを完了し、10年間に1700億円の予算を投じて、人間の脳をシミュレートする、ヒューマン・ブレイン・プロジェクトに取り組んでいます。
シンギュラリティの中核的な技術は、人間の脳の神経細胞の働きを模倣する、ニューロコンピュータです。1980年代の人工知能ブームで脚光を浴びたあと、しばらく低迷していましたが、「ディープラーニング」などの手法が登場してきたので、復活しつつあります。
米グーグル社の研究所では、YouTube から無作為に選んだ、1000万枚の画像をニューロコンピュータに見せた結果、あらかじめ教えていないにもかかわらず、「猫」を認識するようになりました。
脳のニューロンのひとつひとつについて、その興奮状態や、興奮が次のニューロンに伝達されるようすが、リアルタイムで観測できるようになってきました。
また、脳の「リバースエンジニアリング」も進んできており、視覚や聴覚などのセンサからの入力が、どのように脳に取り込まれ、感情や記憶、意志などと相互作用をするのかなどが解明されつつあります。
脳の働きが解明できれば、脳を模倣するコンピュータを構築でき、コンピュータが人間と同じような仕組みで「考える」ようになる、というわけです。
2045年まで何も起こらないわけではありません。人間の脳と同等のコンピュータができるのは、数年以内といわれています。2030年までには、数十万円も出せば、人間の脳の数千倍に相当するコンピュータが買えるようになるでしょう。
では、2045年には何が起こるのでしょうか。2045年には、コンピュータが人類を超えた進化を始めると考えられています。このとき、すべての人類の知性を合わせたものよりも、コンピュータの知性のほうが10億倍も強力になっていることでしょう。
さて、シンギュラリティが本当に到来するとしたら、私たちはどうすればいいのでしょうか。これについては、次回をお楽しみに。
(次回に続きます)