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2023年度 JNSA表彰のご報告
2023年度


2024年1月12日
特定非営利活動法人 日本ネットワークセキュリティ協会


JNSAでは、情報セキュリティ向上のための活動を積極的に行い広く社会に貢献した、あるいはJNSAの知名度向上や活動の活性化等に寄与した個人、団体、JNSAワーキンググループ を対象に「JNSA賞」と称する表彰を贈る制度を、2006年度に発足いたしました。

この賞は、情報セキュリティの向上に寄与された方々を広く紹介し、その活動を称え、更に積極的な活動をしていただけるよう、設置したものです。この賞が、広く社会に情報セキュリティが根付く発端となり、より良い社会を実現できる一助になればと考えています。

受賞者決定まで

2023年9月に、過去にJNSAの知名度向上、活動の活性化、また広く社会の情報セキュリティの向上に貢献した個人、団体、JNSAワーキンググループの推薦(自薦、他薦は問わず)を募集しました。最終選考会を2023年12月に開催し、受賞者を決定しました。
「JNSA学生賞」には、「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(enPiT)Basic SecCap カリキュラム」enPiT-Securityからの推薦に加え、「独立行政法人国立高等専門学校サイバーセキュリティ人材育成事業」(K-SEC)からも推薦を受けて表彰いたします。
※JNSA学生賞については、それぞれの推薦母体にて選考が行われております。

表彰式

2024年2月2日(木)「JNSA新年賀詞交歓会」にて、表彰式を開催いたしました。


 2024年2月2日「2024年JNSA新年賀詞交歓会」にて

2023年度 受賞者

ワーキンググループ(WG)の部(2件)

◇約1000万のインプレッションを獲得し、Xユーザに広くリーチした

・社会活動部会 みんなの「サイバーセキュリティコミック」実行委員会
(実行委員長:株式会社日立システムズ 本川 祐治氏)

2020年度から4か年にわたり、セキュリティ知識の普及とネットリテラシーの向上、ネットを守るハッカーへの興味とイメージアップ、セキュリティ人材育成を促進することを目的として活動してきた。
JNSA会員に協賛企業を募ることで運営費用を賄い、コミック内で協賛企業のキャラクタを活躍させた。コミックのテーマ選定、ストーリー化、コミック化にあたっては実行委員会が監修を行った。
「サイバーセキュリティ」をテーマとしたコミックを4回のシリーズにわたって計33本制作し、JNSAのX(旧Twitter)で広く発信した。2022年の実績として約1,000万(アスキー実績では類似ジャンルの同期間平均比173%)のインプレッション(コミックをユーザが表示した回数)を得ることができXユーザに広くリーチした。またエンゲージメントは約186万、エンゲージメント率は18.6%であり、これはX広告の平均エンゲージメントを大きく上回る数値となった。
Xを用いて、サイバーセキュリティを広く周知するとともに、会員企業参加型の新しい取り組みを行い、JNSAの広報にも大きく貢献したことが高く評価された。
みんなの「サイバーセキュリティコミック」>>

◇中小製造業の本当の意味でのセキュリティ向上に貢献

・西日本支部 今すぐ実践できる工場セキュリティ対策のポイント検討ワーキンググループ
(リーダー:富士通株式会社 岡本 登氏)

今、最も手当てが必要でありながら対策が遅れていると考えられている中小製造業に対しての、セキュリティレベルの向上に資するために「今すぐ実践できる工場セキュリティハンドブック」を公開している。
2022年に「アセスメント編」を公開し、中小企業を中心とした多くの企業に利用いただいている。また、現在は2023年度内に公開予定の「対策編」を編集しており、その後は「BCP編」を作成予定である。
西日本支部発足以来、中小企業を対象としたセキュリティ対策の成果物をシリーズとして公開してきたノウハウを活かし、西日本に集積する中小企業がリスクの変化に応じた機動的な対応を行うことが出来る機会づくりを支援することを目的として活動している。
ハンドブックの作成にあたっては、実際の工場現場への見学とヒアリングを継続して行い、サイバーセキュリティに関する知識を得る機会が比較的少ない工場現場の担当者もセキュリティと向き合うことができる内容を目指している。
中小企業、工場の現場で必要とされる実用性の高い成果物を継続して提供していることが評価され、また今後の継続への期待を込めて今回の受賞となった。
「今すぐ実践できる工場セキュリティハンドブック・リスクアセスメント編」>>

特別賞

◇ランサムウエア被害の実態を世間に広く周知し、対策の重要性認知度を向上させる活動に謝意

・一般社団法人ソフトウェア協会 Software ISAC

一般社団法人ソフトウェア協会のSoftware ISACは、厚生労働省の医療等情報利活用ワーキンググループの初動対応支援チームとして、実際にランサムウエア被害の発生した医療機関(大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター等)にてインシデント対応を行うとともに、原因の調査、復旧など全面的な支援を行った。
また、復旧後にはインシデントの詳細なレポートを公表するとともに、各種セミナー等で事例紹介を行い、医療機関におけるランサムウエア被害の実態を世間に広く周知し、その対策の重要性の認知度を向上させる活動を行っている。
これらの活動に対してセキュリティ業界団体として感謝の意を表したく、特別賞を贈呈させていただくこととなった。
Software ISAC >>



JNSA学生賞(2件)

◇「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(enPiT-Security)実践的人材育成コース」参加学生表彰

・岡山 貴政氏(岡山大学4年)

2022年度にBasic SecCap7を修了している。2023年度においても多くの演習科目や大学院インターンシップ科目を履修し、Basic SecCapコースで一番要件が厳しいとされるBasic SecCap 10を修了見込みである。
さらに、2023年4月〜5月に開催された情報危機管理コンテストにチームの一員として参加し、文部科学大臣賞を受賞するなど大変優秀であり、実績を伴う姿勢が高く評価された。


◇「独立行政法人国立高等専門学校機構 サイバーセキュリティ人材育成事業(K-SEC)」学生表彰

・M田 幸希氏(高知工業高専専門学校専攻科2年)

NEC Security Skills Challenge for Students 2023 において1位の成績を修めた。また、競技で活躍するだけでなく、普段から情報セキュリティに関する情報収集に注力し、一例として NIST が選定した耐量子暗号に関する資料を注意深く読み、教員による暗号理論の講義資料の改定にも協力した。また、後輩の指導にも取り組み、2022年度は、高専セキュリティコンテストで1年生2名と組んだチームで全国4位の成績を修めた。
情報セキュリティ以外の分野においても、2023年に量子コンピュータでのアルゴリズムに関する査読論文が、当該分野のトップジャーナルに掲載されるなど、優秀かつ指導にも熱心なことが評価された。 査読論文は以下で読めます。
Phys. Rev. Research 5, 043048 (2023) - Optimal scheduling in probabilistic imaginary-time evolution on a quantum computer (aps.org)