クレデンシャルの歴史

« 8. クラウド時代におけるクレデンシャル   10. まとめ »


9. 5G&IoT時代におけるクレデンシャル

ここまでは過去・現在にわたるクレデンシャルの歴史をみてきました。では、今後・将来にはどのようなクレデンシャル・認証方式が登場してくるのでしょうか?

・体にチップを埋め込む?

まるでSF映画の中のようと思いますが、体の中にチップ(クレデンシャル)を埋め込んで認証や交通機関のチケットなど様々な用途で活用する仕組みが実用化され、利用されています[25][26]。マイクロチップやICチップなどを体の中に埋め込むことで、紛失・盗難や持ち忘れなどの物理的なカードなどの問題点が解決するものです。筆者は体の中にモノを入れるのはちょっと恐いですが、皆さまはどうでしょうか?

・さらに進化する生体認証

マイノリティ・リポート[27]という映画をご存知でしょう?トム・クルーズ主演の2002年公開の映画ですが、近未来の実現されそうな技術が数多く登場しており、未来予測的な観点でよく参照されています。影響を受けているSF映画なども多いですね。この中で登場するのが網膜認証です。虹彩認証と同様、目の特徴から本人を認証する仕組みですが、映画中では、入館管理、地下鉄での乗車確認、カスタマイズされた広告の表示と様々な場面で個人を識別・認証するために使われています。主人公が電車に乗ったことがすぐにバレてしまったりして、プライバシー的な懸念も抱いてしまいました。一方でスパイダーと呼ばれるクモのような小さなロボットが網膜スキャンし認証することでビルの中の居住者の私生活を暴くことなく居住者の確認をしていたのは、多少はプライバシーを考慮している印象を受けました。

参考:目の構造 https://www.jst.go.jp/pr/report/report350/ 
「水晶体内のDNAが残ると白内障を引き起こすことが明らかに」
国立研究開発法人 科学技術振興機構 より

網膜は虹彩とは違い目の奥にあるため、現在では読取の機械などが高価で大きく普及しているとは言えませんが、カメラや機械の性能が上がってくると広く使われるようになるのではないかと思います。映画では主人公が網膜認証を破る方法を編み出すわけですが。ネタバレになるのでやめておきましょう。

また、筆者が面白いと思った生体認証としては、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」[28]で登場していた心臓音を利用した生体認証です。海底深くに隠したモンスターの心臓音を潜水艦のソナーで集音して、どのモンスターが隠れているか認証をしていました。

参考:防衛装備庁 : 艦船装備
https://www.mod.go.jp/atla/soubi_kansen.html

生体情報をクレデンシャルとして利用する生体認証はその人自身の情報を利用するため、持ち忘れ・紛失や記憶違い・記憶忘れなどがなく便利な方法だといえます。生体情報を取り扱うためプライバシーへの懸念などもありますが、読取機器やデジタル化する際の処理技術の進化にともないますます普及していくと考えられます。

ここで紹介しているものに加えて、DNA、耳の形、臭い、歩き方、タイピングパターン、手書きの署名なども生体認証に活用できる[29]といわれています。また国内でも実用化・研究・調査[30]が進められています。


[25] :
体内にマイクロチップを埋め込んだ社長に聞いた!「人間のバージョンアップ」におけるビジネスチャンスは? | in.LIVE(インライブ)
https://www.asteria.com/jp/inlive/lifestyle/2774/
[26] :
スウェーデンでは数千人が体内に埋め込んだ、マイクロチップによるパーソナライゼーションの高度化 | ビービットのオフィシャルブログ|一兆スマイル新聞 https://trillionsmiles.com/future/microchip/
[27] :
マイノリティ・リポート - Trailer - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=Db1huoe_6wQ
[28] :
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式サイト https://godzilla-movie.jp/
[29] :
Types of Biometrics - Biometrics Institute
https://www.biometricsinstitute.org/what-is-biometrics/types-of-biometrics/
[30] :
個人識別符号に関する海外・国内動向の調査研究報告書 | 個人情報保護委員会
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/201803_kojinshikibetsu_fugou.pdf

 
« 8. クラウド時代におけるクレデンシャル   10. まとめ »