★☆★JNSAメールマガジン 第175号 2019.11.15 ☆★☆

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今回のメールマガジンはオーストラリア大使館の坂治彦氏にご寄稿いただきました。

【連載リレーコラム】
オーストラリアのサイバーセキュリティ 〜人材育成について〜

オーストラリア大使館 商務部
主席商務官 坂 治彦

はじめまして。オーストラリア大使館商務部の坂です。

商務部ではオーストラリアから日本への貿易促進、日本からオーストラリアへの投資促進を主な業務としており、その中でオーストラリアのサイバーセキュリティを日本にご紹介しております。『オーストラリアのサイバーセキュリティ?』と思われた方も多いかとは思いますが、以下にオーストラリアでのサイバーセキュリティ・プロフェッショナル育成についてご紹介させて頂きます。 
オーストラリアには43の大学があり、また高等教育機関としてTAFE(テイフ)と呼ばれている公立の専門課程学校が41校あります。大学が43校しかないの?と思われる方もお見えになるかもしれませんが、オーストラリアの人口が約2,500万人、日本の1/5ですので、数としては妥当なようです。現在、その約半数の大学にてサイバーセキュリティが専攻でき、各州にあるTAFEでもサイバーセキュリティの学位コースが用意されています。日本には774の大学がありますが、サイバーセキュリティが専攻出来る大学は学士、修士それぞれ1校づつしかありませんので、オーストラリアはサイバーセキュリティが学べる環境が整っていると言えるかと思います。

2016年、サイバーセキュリティ教育に力を入れている政府は、サイバーセキュリティプロフェッショナルの育成を目的としてAcademic Centre for Cyber Security Excellenceを設置し、エディスコーワン大学とメルボルン大学をサイバーセキュリティ認定大学として、4年間200万ドル(約1.6億円)を出資しました。
同年、ビクトリア州のTAFEボックスヒル・インスティチュートでは、同校と主要セキュリティ関連企業(ANZ銀行、AISA、CISCO、 デロイト、BAE SYSTEMS、テルストラ等)が協力しサイバーセキュリティのパイロットコースを開設しております。このコースの成功により2018年には、同じコースを全州のTAFEに展開しました。

2017年12月、NRIセキュアテクノロジーズ社がオーストラリアにて民間企業対象に行ったサイバーセキュリティに関しての調査では、85.4%の企業がサイバーセキュリティ人材は充足(日本は11.2%が充足)していると答えていました。

しかし、2018年1月、上記調査の翌月に当時の法執行・サイバーセキュリティ大臣は、『今後数年間で11,000人程のサイバー有資格者が必要となる』と発言していいます。ここで興味深いことは、業界では現状不足を感じていないが、政府は将来的な産業の発展の予測とそれに対して必要となるプロフェッショナルの必要性を認識し、その対策を取っていたことです。

オーストサイバー(サイバーセキュリティに特化した企業主導型のNPO)が発表している詳細な統計では、現在オーストラリアには約19,500人のプロフェッショナルがいるが、需要に対し約2,300人不足しており、その対価は4億ドル(約320億円)に相当し、更に2026年までには17,600人が必要とされています。

長期的には、2017年には大学から約500人が卒業しており、2026年には年間2,000人の卒業生が期待でき、中期的には専門課程修了者がそのギャップを埋めると予測しております。

またサイバープロフェッショナルを育成する目的も含め、2017年9月に政府は7年間で5,000万ドル(約40億円)の出資を発票し、インダストリー、政府、リサーチの25団体と協力し2018年4月サイバーセキュリティ研究センターの本部をエディスコーワン大学内に開設しております。ここでのミッションは、博士、修士、優良学士生に奨学金を提供することで、次世代のサイバーセキュリティ専門家を惹きつけ、刺激、指導、育成することです。

この様にして、オーストラリアではサイバーセキュリティ人材の現状と将来の予測より、産・学・官が連携しサイバーセキュリティ・プロフェッショナル育成を行っております。

 

#連載リレーコラム、ここまで

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