★☆★JNSAメールマガジン 第129号 2018.1.26 ☆★☆

こんにちは
JNSAメールマガジン 第129号 をお届けします。

2月1日〜3月18日は、2018年サイバーセキュリティ月間です。
その初日2月1日に内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)主催キックオフサミットが開催されます。JNSAも共催として協力していまして、その模様はニコニコ動画でライブ生放送で配信されますので、ぜひ多くの方にご覧いただければ幸いです。

2018年「サイバーセキュリティ月間」キックオフサミット
日時: 平成30年2月1日(木)13:00-17:00
場所: nicofarre(ニコファーレ) * ニコニコ生放送にて中継
URL: https://www.nisc.go.jp/security-site/month/event/index.html

さて今回のメールマガジンは、株式会社ベネッセインフォシェル/JNSA社会活動部会長丸山司郎氏に「先進国、中国のキャッシュレス社会」をご寄稿いただきました。

【連載リレーコラム】
サイバー旅行記 「先進国、中国のキャッシュレス社会」

株式会社ベネッセインフォシェル/JNSA社会活動部会長 丸山司郎

事の始まりは、日本で働いている中国抗州出身の方から「中国のキャッシュレス社会体験ツアー」のお誘いをFaceBookでいただいた事に始まります。
運とか縁は面白いもので、タイミングよく中国のキャッシュレス社会について、ネット上でいくつかのブログ記事を読むことになり、これは身をもって体験しないとまずいと感じ、2017年12月8日から11日までお休みを頂いて杭州に行ってまいりました。
力のある友人のお陰で、キャッシュレス以外にも、貴重な体験ができました。
友達とは有り難いものです。
・Alibaba本社訪問
・杭州商工会会頭との会食
・夜の西湖湖上で開催される一大演劇

キャッシュレスの具体的な使い方などは、「中国、キャッシュレス」でググっていただくとして、WeChatPayとMobikeを試してきた実感として、

「とにかく簡単で早いし、どこでも使える」です。

日本に戻って、現金とICカードを使い分けなければならないのは正直面倒くさく、日本はすでに置いていかれており、同じ土俵ではもう追いつけないな、と感じてます。
具体的に、中国訪問で私が感じた驚異的なイノベーションを4点説明してみます。

1.取引実績に基づく防犯システム
Alipay やWeChatPayは使えば使うほど、信用度スコアが上がる仕組みです。
米国のクレジットカードなどと思想は同じ仕組みですが、その効果、影響力が圧倒的に違います。具体的な内容はネットにありますので、「中国、信用度スコア」でググってみてください。
私が感じた最大の変革は、社会の防犯、犯罪防止の仕組みが変わるという点です。
実際、タクシーでも路上で焼き芋を買っても、不安を感じませんでした。
AlipayやWeChatPayがお金のやり取りの中心になると、それを使えない人は、社会の経済活動から除け者にされてしまいます。キャッシュレスになることで、悪いことをした人は、即時に信用度ランクが下がり悪いことができなくなる、つまりは、犯罪抑止につながるという点です。また、中国社会は偽札が普通に横行しておりますから、キャッシュレスになることで、経済活動自体が健全になるという効果もあります。これは、防犯や治安維持活動を警察などの仕組みに頼らなくても実現させる可能性があるという事です。

2.紙幣、貨幣経済の終わり
あまりにも当たり前で、普段は気にしたこともないのですが、私たちのお金の価値は国が保証しているから、安心してお金で売り買いができています。紙幣は日銀が発行し、貨幣を日本政府が発行しているのもインフレなどの市場経済を安定させるための絶妙な仕組みです。
中国のキャッシュレス社会は、お金の発行主体が、民間企業のテンセント社とアリババ社です。(但し、バックには中国政府が居ることは明らかですが。)
銀行より高い金利(4%)で預金もできますし、公共料金の支払いもできますし、なにより日常生活でのほぼ全て(90%超)の売り買いが現実として成り立っています。1元(17円)の揚げパンから、バス、高級中華料理店の支払いまで全てキャッシュレスです。
この行き着く先は、国家として紙幣、貨幣の発行コストが不要になる、紙幣の偽札が困難になる、貨幣の流通量つまりは市場経済のコントロールがリアルタイムに出来るようになるという事で、現在の金融庁による銀行をコントロールする市場経済の仕組みが変わるという事です。まだハッキリとは理解できていませんが、人類が物々交換からお金を介した取引経済に変わったのと同じレベルでの変革が今起こっているという事です。

3.データ中心ビジネスモデル
キャッシュレスが世間に浸透する一番の障壁はなんでしょうか?
やはり、AlipayやWeChatを信用していいのか、という人々の心の問題だと思います。
新たな技術に対する漠然とした不安、セキュリティ上の不安、有り金全部を一民間企業に預ける不安、共産主義社会で全個人情報を預ける不安などです。
これらの障壁を超えて普及させるために、AlipayやWeChatがとった作戦は、徹底的なキャンペーンだそうです。物を買う時の割引は当たり前で、AlipayやWeChatを使った場合には、50元のキャッシュバックまで行ったそうです。つまり、普通にスーパーで買い物をする時に、キャッシュレスだと、ほぼ無料になるということで、若者だけでなく、高齢者の方も一生懸命使えるように努力した結果だとの事です。
AlipayやWeChatを使っても、取引手数料はかかりません。割引することはあっても、取引自体から利益を得ることは無いというビジネスモデルです。さらに、キャッシュレス普及のために、莫大なキャンペーン費用が投入されている訳です。

その目的は何でしょうか。
それは、圧倒的なデータの収集と蓄積だと考えられます。つまりは、これからの社会は、人間の行動を全てデータ化し蓄積して活用したものが優位に立つということです。現在の総資本総額の世界トップ5は、アップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックです。これらの企業が持つ経営資源は「データとそれを活用するプラットフォーム」です。ネットが生活の中心になった現在、物理的な物の所有者でなく、圧倒的なデータ量を保有したものが世界をコントロールしています。

4.超高速な事業発展
テンセントとアリババという会社をご存知でしょうか。
私も今回の中国旅行に行くまでは、名前程度の知識しかありませんでした。中国でキャッシュレスを実現しているのは、実質この2社の競争環境の中で成立しています。そして総資本額の世界第6位がテンセント社であり、第8位がアリババ社です。
テンセント社は1998年の設立で、アリババ社は1999年の設立で、共に設立20年に満たない会社です。
杭州にあるアリババ本社の見学をして来ましたが、従業員4万人、広大な敷地(12万6千平米)に、池を中心に7棟のビルが立ち並び、とにかく成長と活気を感じました。中国で働いている若者と話しをしましたが、日本は遅くてつまらない、少し日本にいると飽きてしまう。と言っていました。

今回の旅で感じた「焦り」は、キチンと世界を自分の目で見て、そのスピードを体感しないと、日本で働く我々は、茹でガエルになってしまう、という感覚です。

皆さんも是非、中国に行って実際に体験してみて下さい。文章では中々伝わらない、焦燥感を味わえるはずです。

 

#連載リレーコラム、ここまで

<お断り>
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。

【部会・WG便り】
2月-3月のサイバーセキュリティ月間の期間中、JNSAの部会やWG企画イベント
を開催予定です。詳細は近日中に公開予定ですのでお楽しみに!

・2月26日(月) IoTセキュリティWG主催セミナー
・2月27日(火) ISEPA主催セミナー
・3月8日(木) ゲーム教育WG主催セミナー
・3月16日(金) 西日本支部主催セミナー

 

【事務局からの連絡、お知らせ】
★主催シンポジウム「NSF2018」盛況のうち終了しました。御参加いただいた
みなさま、ありがとうございました。公開可能な資料はセミナー終了後も順次
掲載していきますのでぜひご覧下さい。
https://www.jnsa.org/seminar/nsf/2018/pro.html

★「Black Hat Asia 2018」ディスカウントコードのお知らせ
JNSAは、2018年3月20-23日にシンガポールで開催される
「Black Hat Asia 2018」にSupporing Associationとして協力しています。
参加を予定されている方はディスカウントコード「JNSAbr18 」をぜひ
御利用下さい。

登録画面
https://www.blackhat.com/asia-18/registration.html?elq_mid=342&elq_cid=72509

★サイバーインシデント緊急対応企業一覧を公開しています。
https://www.jnsa.org/emergency_response/
緊急対応可能な窓口をお持ちの会員企業様は、JNSA事務局までお問合せ下さい。

★IPA「情報セキュリティ対策支援サイト」が公開されました。
中小企業向けのツール「5分でできる!自社診断」「5分でできる!ポイント学習」
が公開されています。
https://security-shien.ipa.go.jp

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JNSAメールマガジン 第129号
発信日:2018年1月26日
発 行:JNSA事務局 jnsa-mail
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