★☆★JNSAメールマガジン 第103号 2017.1.20 ☆★☆

こんにちは
JNSAメールマガジン 第103号 をお届けします。

いよいよ来週末には東京電機大学でSECCON 2016決勝大会が開催されます。
今年のSECCON決勝大会はCTF決勝戦だけでなくカンファレンス・参加型ワークショップ・企画展示など、CTF以外にもみなさんに楽しんでいただけるプログラムを用意しています。
ぜひ来週末は北千住へお越し下さい!

 日時:2017年1月27日(金)13:00-17:30 ※ビジネスカンファレンス
     2017年1月28日(土)10:00-19:00
     2017年1月29日(日) 10:00-16:30
 会場:東京電機大学 東京千住キャンパス 1号館

 プログラム詳細はこちらをご覧下さい。
 http://2016.seccon.jp

さて、今回のリレーコラムでは、バリュークリエーションフロンティア代表の衣川俊章様にご寄稿いただきました。


【連載リレーコラム】
米国におけるサイバーセキュリティ企業への投資の現状について

(バリュークリエーションフロンティア 代表 衣川俊章)

 今回は、米国におけるサイバーセキュリティ企業への投資の現状について紹介したいと思います。
 サイバーセキュリティ企業への投資は、2011年を起点として増加し続けてきました。それは2015年第三、第四四半期で金額、件数共にピークとなりました。
 2015年全体としては、金額にして38億ドル強、件数にして332件に及びます。
 この数字は、ITにおけるセクター別に見ても、最大級となっています。これは、サイバーセキュリティへの需要の高さの表れから来ている需要とも言えます。
 ガートナーによれば、グローバル規模での企業の情報セキュリティへの投資額は、2015年で77億ドルですが、2019年には108億ドルにまで伸びていくと予測されており、サイバーセキュリティ企業への投資も継続的に増加していくという予測は納得がいきます。

 2016年の第一、第二四半期では、情報セキュリティ企業への投資レベルは金額レベルでは若干落ち込みました(例年、年前半は冷え込みます)が、件数的には 2015年後半のレベルをほぼ維持しています。2016年全体としては、昨年比で、金額的には7億ドル弱、件数的には16件のみ減少という数字で、必ずしも増加
 傾向には至っていません。が、2017年に入ってから、ガートナー予測にあるように企業のセキュリティ投資・支出増加が見込まれていることもあり、また増加傾向に転じ、サイバーセキュリティ企業への投資自体への需要は高いレベルで推移していくと予測されています。

 2016年の100万ドル強のメガラウンドとしては、Cylance(ネットワーク&エンドポイント)、MobiMagic(モバイルセキュリティ)、LogicMonitor(ネットワークセキュリティ)となっています。これは2015年の5件(CrowsStrike(ネットワーク&エンドポイント)、Illumio(クラウドセキュリティ)、CloudFlare(ネットワーク&エンドポイント)、Tanium(資産管理&セキュリティ)、Tenable Network Security(ネットワークセキュリティ))に比べると若干の減少です。2016年のメガラウンドの中では、Cylanceが、本年の100万ドルの調達で企業評価額が1億ドルを超えました。

 地域別で見てみると、米国が全体の77%、特徴的なのは7%がイスラエルになっていて、この割合は増加傾向です。ちなみに、イスラエル投資を受けた企業を挙げてみると、Skybox(脅威インテリジェンス)、enSilo(ネットワーク&エンドポイント)、Illusive Network(デセプション)、Fireglass(アイソレーション)、Cato Networks(ネットワークセキュリティ)、SafeBreach(リスク・インシデント対応)、TrapX(デセプション)、LightCyber(挙動・行動検知)、GuardiCore(ネットワークセキュリティ)などが挙げられます。

 最後に、2017年の投資市場の傾向についてご紹介したいと思います。

1. AI+サイバーセキュリティ、IoT+サイバーセキュリティが黄金の組合せとなるでしょう。この傾向性は、一昨年ごろから始まって来ていますが、来年はこのエリアが更に注目されると言われています。面白い分野としては、フィンテックに関連したセキュリティ技術(クリプトカレンシーなど)、そしてサイバー保険のリスク評価に特化した技術(Cyence)への投資が昨年当たりから始まっていて、これらの分野への投資は少しづつ拡大していくと言われています。

2. シングルポイントソリューションはM&A対象になる確率が高くなるとされています。ここ数年、IT大企業(IBM、デル、シスコ、VMウェアなど)やセキュリティ大企業(シマンテック、ファイヤアイ、フォーティネットなど)がスタートアップ企業を買収するケースが増えて来ています。これには2つの要因が絡んでいると言われています。ひとつは、自社製品・サービスだけでは多様化する顧客要望に対応できなくなってきている中で、ワンストップショップによる利益拡大が必須である。ただ自社でそれらを全て開発するのはリソース的にも投資対効果的にも難しいためであると考えられています。二つ目は、前述のポイントとも絡みますが、自社製品・サービス単体で株主の期待を上回る業績をあげることが難しくなってきているため、買収によって払拭することです。これら2点からM&Aがセキュリティ投資市場で果たす役割は大きくなっていくであろうと予測されています。

以上、セキュリティ企業への投資状況についてご紹介しました。


#連載リレーコラム、ここまで

<お断り>
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。



【部会・WG便り】

★セキュリティ市場調査WGでは、2016年度国内情報セキュリティ市場調査(速報値)を近日中に公開予定です。お楽しみに!

【事務局からの連絡、お知らせ】

★「IPA情報処理安全確保支援士制度説明会」参加希望の方は申込はお早めに!
 日時:1月30日(月)16:30〜18:00
 場所:JNSA1階会議室(港区西新橋1-22-12 JCビル)

【他団体からのご案内】

★IPA(独立行政法人情報処理推進機構)からのご案内
 新国家資格「登録セキスペ(情報処理安全確保支援士)」制度はじまる!

 平成28年10月、サイバーセキュリティ分野で初となる登録制の国家資格「登録セキスペ(情報処理安全確保支援士)」制度が創設されました。
 本制度では、継続的な講習受講義務による人材の質の担保や登録情報の公開による人材の見える化などを通じて、企業や組織で必要となるサイバーセキュリティ人材の育成・確保と、その活用促進を目指しています。サイバーセキュリティ対策の強化に向け、是非、本制度をご活用ください。

☆初回登録申請 現在受付中!!(平成29年4月1日登録分)
 ・受付期間:平成28年10月24日(月)- 平成29年1月31日(火)消印有効
 ・対  象:情報セキュリティスペシャリスト試験合格者
        テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験合格者

 詳細については次のURLをご覧ください。
 http://www.ipa.go.jp/siensi/index.html

☆平成29年度春期試験 平成29年1月12日(木)〜受付開始!!
 詳細については次のURLをご覧ください。
 https://www.jitec.ipa.go.jp/1_02annai/h29haru_exam.html

 

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