JNSAメールマガジン 第79号 2016.2.5☆★☆
(株式会社インターネットイニシアティブ/JNSA調査研究部会長 加藤 雅彦)
こんにちは。調査研究部会の加藤です。
今年も2月1日から3月18日の期間にわたり、サイバーセキュリティ月間が始まりました。JNSAもその趣旨に賛同し、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)および情報処理推進機構(IPA)と共同で、「攻殻機動隊S.A.C.」のキャラクターを使用したキャンペーンを行うこととなりました。
そこで今回のコラムでは手短に本キャンペーンについて少し書いてみようかと思います。堅い話はありませんので、息抜きにどうぞご覧ください。
サイバーセキュリティ月間をご存じない方のために「サイバーセキュリティ月間」とは何?ということを簡潔にご説明しておきますと、サイバーセキュリティ月間とは、サイバーセキュリティに関する普及啓発推進のために政府が定めたキャンペーン期間のことです。
そもそもは平成18年度から始まった「情報セキュリティの日」が最初のキャンペーンで、平成21年度から「情報セキュリティ月間」となり、平成27年にNISCが設置されてから現在の「サイバーセキュリティ月間」となりました。年々規模が大きくなっているのは、サイバーセキュリティの重要性が増していることの証なのでしょう。
今年のキャンペーン期間開始は2月1日、終了は3月18日です。3月18日終了がなんとなく中途半端な感じがしますが、これはサイバー(318)のごろ合わせだそうです。
啓発テーマは毎年タイムリーに設定され、期間中に日本全国津々浦々でサイバーセキュリティ関連の講習会やイベントが行われます。メディアを使ったキャンペーンなども大規模に展開されます。どこでどんな協賛イベントがあるかは・・・たくさんあって書ききれないので、NISCのWebに掲載されている情報※1をご覧いただければと思います。
啓発キャンペーンといえばキャラクターものが使われることはよくありますね。最近ではIPAが「パスワード」という啓発マンガを原宿駅で大々的に展開し※2、大きな話題となりました。さらに遡ると、2009年には経済産業省のCheckPC!で、セキュリーナという人形を使ったコンテンツが作られています(セキュリーナのサイト公開は終了しています)。
その他にも探せばたくさん出てくるのですが、広く一般向けに啓発を行う場合、このような親しみやすいキャラクターやマンガを使うという事例は数多くあり、通常の啓発コンテンツでリーチできない層へのPRとして効果を上げています。
今回のサイバーセキュリティ月間でも同様のキャンペーンとして「攻殻機動隊S.A.C.」というアニメーションを使ってキャンペーンが行われています。「攻殻機動隊」とは25年前に士郎正宗氏により発表された近未来SFマンガで、高度なネット社会で犯罪と闘う組織「公安9課」の活躍が描かれているもので、サイバーセキュリティと相性の良い内容となっています。初出はマンガですがその後アニメ化が行われ人気を博しました。現在でも新作映画が公開されるなど今でも人気のあるコンテンツとなっています。さらに、スカーレットヨハンソン主演で実写映画化されるそうで、現在制作が進んでいるようです。25年前の日本のマンガが今ハリウッドで映画化されるなんて胸が熱くなりますね。マンガやアニメは苦手・・・という方はそちらをご覧いただくということでもよいかもしれません。(ただし残念なことに公開は2017年の予定です。)
近年JNSAでは次世代の人財育成として、SECCONやインターンシップなどを通じて学生など若年層へのアプローチを強化しています。そこで、今回のキャンペーンに伴い、攻殻機動隊制作委員会と協力し、攻殻機動隊の公式サブストーリーという位置づけの啓発マンガ制作を行いました。ストーリーや作画も攻殻機動隊のスタッフが行っており、なかなかに力の入った内容となっています。マンガのストーリーは身近におきる小さなセキュリティ事故が重大な問題につながっていくというものです。キャンペーン特設サイト※3でpdf版が無料配布されていますのでご覧いただければと思います。
JNSAは今まで安全教室などで一般利用者向けの啓発をやっていますが、マンガを使用するというのは初の試みとなります。マンガを使用することについては賛否両論あると思いますが、SECCONやインターンシップはちょっと敷居が高いと感じたり、そもそもそれらに興味が無かったりする若者も、このようなマンガをきっかけにしてサイバーセキュリティに興味を持ってもらい、いずれはこの業界に足を踏み入れてくれることを期待しています。
その他にも今回JNSAが関わったものとしてはキャンペーンポスター制作があります。ポスターはNISC版、IPA版の2種類があり、両方とも絵柄が異なり、新規描き下ろしとなっています。IPA版にはJNSAのキャンペーン検討メンバーが考えた標語なども載っており、JNSA会員企業の皆様にはIPA版が郵送される予定です。会社の目立つ場所などに貼っていただき、サイバーセキュリティ月間の啓発活動にご協力いただければ幸いです。
なお、NISC、IPAで一般向けにポスター配布を行っていましたが、1週間とたたずに既定枚数の配布が終了したようです。
以上、簡単に今回のコラボについてご紹介してきました。今年のサイバーセキュリティ月間は力が入っています。NISC,IPA,JNSA連携イベントもこれで終わりじゃないかも!?。サイバーセキュリティ月間が終了するまで色々とイベントがありますので、定期的にWebサイトなどご確認いただき、サイバーセキュリティの啓発にご協力いただければ幸いです。
※1 みんなでしっかりサイバーセキュリティ(http://www.nisc.go.jp/security-site/index.html)