JNSAメールマガジン 第69号 2015.9.11☆★☆

こんにちは
JNSAメールマガジン 第69号 をお届けします。


10月15日に行いますJNSA設立15周年記念イベントのプログラムを公開しました。
http://www.jnsa.org/seminar/2015/nssf15/

2000年のJNSA発足以来、いままでにお世話になった方々への感謝とともに、これからの活躍に期待する方々へのエールを送るイベントとして、「NetworkSecurity Special Forum(NSSF15)」を開催いたします。
参加申込み受付はまだ準備中ですが、ぜひ多くの方に御参加いただければ幸いです。

さて、今回のリレーコラムは、JNSA教育部会 部会長/日本アイ・ビー・エム株式会社 平山敏弘様からの寄稿です。
【連載リレーコラム】
「皆さん一人一人がインフルエンサーとなり、人材育成に貢献を!」

(JNSA教育部会 部会長/日本アイ・ビー・エム株式会社 平山 敏弘)

こんにちは、教育部会の平山です。

今回は教育部会の活動ご紹介と皆さん一人一人に情報セキュリティ業界におけるインフルエンサー(他者に大きな影響を与える人)となって、情報セキュリティ人材育成にご協力いただきたく、私からお話させていただきます。

JNSAにおける人材育成活動

現在実施しているJNSAにおける人材育成活動としては、大きく分けますと以下の3つに区分されます。

    1)SECCON実行委員会をはじめとするコンテストなどの運営・支援活動

     近年の悪質化するサイバー攻撃から企業・組織を防御するためには、優秀な情報セキュリティ技術者の育成とスキルの高度化が不可欠となっており、技術者育成のため海外においては様々なCTF大会が実施されています。日本では、SECCON実行委員会が「SECCON」、「CTF for ビギナーズ」、「CTF for GIRLS」などを開催し、情報セキュリティ人材育成のため、裾野拡大を支援する活動をしています。

    2)産学情報セキュリティ人材育成検討会

    産学情報セキュリティ人材育成検討会は、「教育機関における産学連携の支援」と「会員企業における採用を支援する取り組み」を行うことで、主体的な課題解決の役割を担う目的として発足しました。具体的には学生と企業人との交流会や、会社見学会の実施、およびインターシップ説明会実施など、表面的な連携ではなく、教育機関と産業界が深く・本音で連携することにより情報セキュリティ人材の育成・スキルアップを図ることを目的にしています。

    3)教育部会による実証教育活動

    教育部会の活動目標は、「良質かつ社会のニーズに適合したセキュリティ人材の育成のため、必要とされる知識・技能等の検討を行い、実際の大学や専門学校等で評価実験を行う」となっています。具体的な活動としては、情報セキュリティ教育のカリキュラムおよびシラバスの開発やコンテンツ作成など、情報セキュリティ講義が実施できるアセットやノウハウを準備して、それを大学や専門学校で講義として実証することにより、情報セキュリティ教育の裾野拡大は基より、それに加えて多くの方が「教える側」になれるための支援を行っています。

自分の価値を見極め、影響力を

今回は、教育部会での活動をご紹介することにより、読者の皆さん一人一人に周りの人々に影響を与えるIT技術者/情報セキュリティ技術者となっていただきたく、@それに向けてどのように各自が自分の価値を客観的に認識し、Aどのような活動を心掛けるのか、Bそれにより、他者にどの様な影響を与え、また自らもどのように高めていくかを考えていきたいと思います。その一例として私の経験を交えながら述べ、その結果一人でも多くの方に行動をおこしてほしく、お話させていただきます。

まず私が感じるのは、「自分の価値を理解しているIT技術者が少ない」と言うことです。皆さんは、ご自身の価値を考えたことがありますでしょうか?自分の価値を理解していないと自分を高める目標を決めることも出来ません。

また、このような話をすると、「いやいや、私はそんな価値がある人間ではないですよ」と謙遜される方が多いのではないでしょうか。しかし、自分が思っている以上に皆さんには価値があるはずです。というのも、私自身もそんな自分の価値を認識していなかった一人だったからです。それでは、まずどのようなIT人材が求められているのかについて見ていきましょう。

どんな人物がインフルエンサーとなりえるか

インフルエンサー(他者に大きな影響を与える人物)になるには、いろいろなパターンがあると思いますが、ここでは教育部会での活動のような、講演や講義の依頼が来るということも、その人物の価値や影響を多くの人に与えることが出来るひとつの指標であると考え、その例をここで述べる事とします。

JNSAでの活動事例ではないのですが、一例として私自身が経験した、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)で実施している産学連携講座「IT最前線」の例を紹介します。当講座は、通常の企業からの寄附講座などとは異なり、技術そのものではなく「技術の

面白さ」を伝えることによって、学生が大学時代に何を学んだらよいかの気づきを与えるとともに、電子・情報産業の業界で働くことの楽しさや意義を理解してもらうことを狙いとした講座です。企業の第一線で活躍する技術者・研究者が、実際に体験したことを中心に講義し、その中で産業界が必要としている人材像・技術者としての姿勢・創造の厳しさや喜びなどを、自らのことばで直接学生に伝え、交流を図ることによって、高度化・多様化する産業界で将来活躍できる人材を育成することを目的とした講座です。

JEITA加盟企業の技術者から講義リストが提出され、提携大学にそのリストが公開され、大学側で採用したい講義があった際にマッチングされ、講義が実施される仕組みになっています。

大学側から講義依頼の希望テーマリクエストが多いということは、それだけ学側から興味を持たれ、必要なスキルやテーマであると考えられていると言えます。私が参加していた、平成24−27年度前期までに実施された講座を分類してみますと以下になります。

    実施コース・テーマ 397テーマ(講座)
    セキュリティ関連テーマ数 78テーマ(約20%)
    キャリア教育関連テーマ数 40テーマ(約10%)

上記の分類結果を見ると、やはり最近の話題性の高いテーマであるとの認識からか「セキュリティ」の講座開催が全体の約20%と多く、セキュリティ関連のテーマを話すことが出来るスキルや経験を持ったIT技術者が現時点ではインフルエンサーになれる可能性が高いと言えます。さらに、大学側からの要望が多かったのが、「キャリア関連」のテーマに関することとなっています。自分のIT技術者としてのキャリアがテーマであれば、自分のスキルを気にして尻込みしている方でも、貢献できる可能性があるのではないでしょうか。

このように高度な情報セキュリティスキルを持った方はもちろん周りに影響力を与えることができますが、それ以外の方でも各自の経験やスキルが他の方にとっては大変貴重な情報になる可能性があるということを意識いただければと思います。

一人一人がインフルエンサーになることの意味

1つ1つの活動は、ほんの少しの影響しか与えることが出来ないとしても、その影響を受ける人数が大人数であったり、継続した活動を行い蓄積することで、インフルエンサーとなれる可能性があります。

また私の例で恐縮ですが、私は平成24−27年度前半の3年半で、38コマの講義を実施させていただき、受講生は延べ約2000名になります。1コマ90分ですので、延べ受講時間に換算してみますと、3,000時間(2000人x90分=180000分)/人となり、とてつもない大きな数字になります。これだけの数字になりますと1つは小さな影響力であっても、最終的にはインフルエンサーとしての活動になると言えるのではないでしょうか。

高度人材育成にはモチベーションが鍵

スキルアップと人材育成は会社の財産である人を育て、企業の競争力をアップさせますが、そのスキルアップにはモチベーションが大きく影響します。そのことは多くの経済学や経営学の学者がモチベーションに関する研究を行っている事からも、社員のモチベーションアップが経営に大きく影響する事を証明しています。またモチベーションとは、成果報酬だけに留まるような単純なものでなく、人により千差万別である事を理解しておく必要があります。

モチベーション研究には、マズローの「欲求段階説」や、マグレガーの「X理論Y理論」他、諸説ありますが、多くの理論で共通している点は、「低次の欲求が満たされるとより高次の欲求へと移行していく」や「動機付け要因を充足させることで、人は自ら成長と向上を試み、意欲やスキルの向上につながる」など、賞罰制度に代表される低次な外発的モチベーションから達成感や自己実現を目的とする高度な内発的モチベーションに移行していくという説です。

また働き甲斐に関するアンケートでは、「社会や他の人々に貢献できること」や「自分の成長を実感すること」などの高次の達成感が働き甲斐に繋がるとの結果が出ており、さらに上位の職位にその傾向が強いとの傾向があります。

このようなことから高度人材を育成するためには、各人のモチベーションが大きく影響し、そのモチベーションアップを図るためには、社会や他の人々への貢献など、他者へ影響を与えることような活動ができることが大きく関連すると言うことができます。


求められる創造性に富んだ高度IT人材 「作る」から「創る」へIT人材白書の中では、IT企業に対し、以下のようにメッセージされています。


「作る」だけではなく価値を「創る」ためには質の高い人材が不可欠である。人材が自ら学び育っていける環境の整備や、ダイバーシティや人材流動を意識した人材の活用が不可欠である。」

このように、「創造性に富んだヒューリスティックなワークが求められる」新しいIT技術者像に近づくためには、従来の「学ぶ」「教えられる」などの受身の育成ではなく、まさに今まで述べてきた内発的モチベーションにより、各自が自ら能動的に育成を行う「自己実現」を支援することが必要になってきます。

インフルエンサーとなり、他者への影響力を増して、モチベーションアップへ

ここまでの話を最初の話に倣って整理すると以下になります。

    @どのように各自が自分の価値を客観的に認識

    情報セキュリティスキルを持った方は、周りに影響力を与えることが出来る人であることを認識。高度なスキルがない場合にも、各自の経験やスキルが他の方にとっては大変貴重な情報になる可能性がある

    Aどのような活動を心掛けるのか

    他者に影響を与える(自分のスキルや経験を他者へ伝える)ことにより、人材育成に関する活動を実施することが可能となる

    B他者にどの様な影響を与え、また自らもどのように高めていくか

    他の人々に役立つ人材育成活動などは、自身のモチベーションアップにもつながり、創造性に富んだ高度人材に向かい、自らを高めることが可能になる

今回のこのコラムを最後まで読んでいただけた皆さん、どうか自分の価値を認識して、インフルエンサーとなるべき活動を始めませんか。一人一人の活動は小さなものでも多くの方に活動していただき、またその活動を継続することにより、とてつもない大きな力になります。現在このコラムの読者は約2000名いらっしゃいますので、皆さんが50人規模の講義を1回実施いただけると、2,000x50=100,000人となり、8万人とも16万人とも足りないと言われている情報セキュリティ技術者の人材育成に対して非常に大きな貢献ができることになります。

またその活動を多くの方に知っていただくことも是非実践してください。例えば、JNSA会員の皆さんであれば、WGに参加し、成果報告会やNSF(Network Security Forum)など多くの発表の場があります。また教育部会では、「講師紹介ページ」を作成して講師実施スキルのある方々の紹介もしています。どうか皆さんもインフルエンサーとしての活動を行い、自身のスキル向上を図り、自らの価値を高めましょう。そのことがご自身が所属する部門の組織力を増し、企業競争力を高め、その結果情報セキュリティ業界全体の底上げや価値増大につながる活動になるはずです。

それでは皆さん、一緒にがんばりましょう!



#連載リレーコラム、ここまで

<お断り>本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。


【部会・WG便り】
★マイナンバー対応情報セキュリティ検討WGでは、10月5日(月)に主催セミナーを開催予定です。詳細は近日ご案内します。
★9/9に開催しました「内部不正対策14の論点」発売記念セミナー 「組織で働く人間による不正・事故は止められるのか?」はあいにくの空模様の中、盛況のうちに終了いたしました。
 多くの方々のご参加ありがとうございました。

【事務局からの連絡、お知らせ】
★JNSA設立15周年記念イベント開催のご案内
「Network Security Special Forum」
 http://www.jnsa.org/seminar/2015/nssf15/
  日時:2015年10月15日(木)13時〜17時(12時30分開場予定)
  場所:ベルサール飯田橋駅前 ホールA
 近日申込受付開始予定です。
 ※JNSA会員の方を対象に18時より飯田橋カナルカフェにて15周年記念パーティ(参加費無料)も行います。ぜひあわせてご参加ください。

★「JNSAセキュリティセミナー」開催中!
 JNSA設立15周年記念イベントの一環として、全国各地でセキュリティセミナーを開催します。
 <申込受付中>
  9月28日(月)岡山
  http://www.jnsa.org/seminar/2015/0928/index.html
 <順次申込み受付開始予定>
  11月17日(火)札幌
  11月26日(木)大阪
  12月17日(木)沖縄

★登録情報にご変更がある方がいらっしゃいましたら、事務局までご一報をお願いいたします。


☆コラムに関するご意見、お問い合わせ等はJNSA事務局までお願いします。

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JNSAメールマガジン 第69号 
発信日:2015年9月11日
発行: JNSA事務局 jnsa-mail
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