JNSAメールマガジン 第67号 2015.8.14☆★☆

こんにちは
JNSAメールマガジン 第67号 をお届けします。


東京の暑さはここ数日は少しやわらいだように思える今日この頃です。今週はお盆休み真っ最中という方も多いようですが、ちょうど今の時期の東京は電車も空いていて人が少なく過ごしやすいものの、お昼を食べるお店が閉まっていることが多いのが難点ですね。
さて、今回のリレーコラムは、海外市場開拓WGリーダー/株式会社インフォセック 樋口 健様からの寄稿です。今年新たに発足した海外市場開拓WGの活動紹介と、先月シンガポールで開催されたRSA Conference出展の報告を前後編2回にわたって連載します。

【連載リレーコラム:海外市場開拓WG(前編)】
「海外市場開拓WG(前編):ガラパゴスをぶっ飛ばせ!」

(海外市場開拓WGリーダー/株式会社インフォセック 樋口 健)

本年5月、JNSA社会活動部会に新たなワーキンググループ「海外市場開拓WG」が発足しました。海外市場開拓WGは、日本独自のサイバーセキュリティ製品やサービスにスポットライトを当て、「Made in Japan」のサイバー防御ソリューションを広くグローバル市場に提案・販売していこうという「大志」を掲げたWGです。今回および次回のメルマガでは、本WG設立の背景と狙い、実際の活動内容をご紹介したいと思います。

【第1章】WG設立前夜

2015年2月某日の21時頃。東京都港区某所に複数のサイバーセキュリティ関係者が集まっていた。いずれも業界生活10年を超えるベテラン達は、盃を傾けながら他愛無い会話を続けていた。

    「どう最近調子は。忙しい?」
    「このご時世だから、セキュリティ会社はどこも忙しいよね」
    「ガッポリ儲かってる?」
    「ウハウハだぜ!と言いたいけど、現実はそうでも無い。お客様からの相談は山ほど頂くけど、それにお応えできるリソースが残ってない」
    「ウチも一緒、常に人がボトルネック。人材はタケノコみたいに生えてこないし」
    「この10年、自分はずっと専門人材育成の重要性と方法論を訴えてきた。最初は馬の耳に念仏だったがここ数年は潮目が変わって、各社とも人材の育成・拡充に取り組んでいるにも拘らず未だに足りない」
    「米国と比較すると、専門家の頭数は20分1以下と言われるね」

米国と日本の人口比率は2.5対1にも拘らず、サイバーセキュリティ技術者は20対1と言われる圧倒的格差の理由の一つに、米軍と軍事産業の存在が挙げられる。しかし、例え米国であっても軍事産業がサイバー技術者の8割を抱えている訳では無い。

    「そもそもサイバー防御製品の大半は米国製で、世界中のサイバー防御投資の多くが米国製品ベンダーに流れていく訳だ。で、巨大な米国市場目がけて世界中から優秀な技術者が集まる。人材が潤沢だから新しい製品技術が次々に生まれる」
    「超ポジティブスパイラルじゃん。日本も同じスパイラル作らないとヤバくね?稼いでも稼いでも米国市場に吸い上げられるという産業構造に甘んじてると、永遠にブレイクスルーしない気が」
    「全く同感。でも日本製品を日本国内で消費するだけじゃガラパゴスだよ。日本製品をグローバル展開して稼ぐモデルを確立しないとダメさ〜」
    「日本製品のグローバル展開か…歯応えあるテーマだな」
    「…いっちょJNSAで仕掛けてみますか?オールジャパン体制で!」
    「ダメ元でやってみるか!海外市場に殴り込みだ!」
【第2章】WG設立

3月初旬、修善寺で開催されたJNSA拡大幹事会にて、日本国内の製品ベンダーを束ねて海外進出を図る新たなワーキンググループ「海外市場開拓WG」の設立が認められた。インフォセック樋口がリーダーとなりメンバーを募集したところ、17社30名のメンバーの応募を得て5月連休明けに正式キックオフする運びとなった。

キックオフミーティングでは、参加メンバーによる討議に基づきWGの狙いと活動目標を以下の通り設定した。

1)海外市場開拓WGの狙いは以下の4項目とする。

  • 日本国内のセキュリティ製品・サービス事業者を束ね、All Japan体制で海外市場進出への足掛かりを作る(共同で市場開拓を推進することで、コストとリスクを分散する)
  • 成功事例を作って成果とノウハウを共有し、国内製品のパッケージ化、ブランド化を図る(サイバーの世界にも「Made in Japan」クオリティを)
  • 当該活動に対する日本政府による後押しを得る
  • 「使命感・魂・想い」を共有する同志を集める

2)WGのターゲット市場は「アジアパシフィック+北米」とする。

  • ASEAN諸国は日本同様の地政学的リスクを有し、経済成長と共にサイバー関連リスクが増加中。ノウハウ
  • 資金の両面において日本に対する期待感は強く、欧米企業に市場を席巻される前に存在感を示しておきたい
  • 一方、ASEAN地域でビジネス展開するうえでは、欧米での導入実績は重要。北米で通用しない製品はグローバルでも通用しない

3)主な活動内容、想定アウトプットは以下の通りとする。

  • 先行して海外市場に進出しているサイバー関連企業の事例を調査(日本国内企業に加えて海外ベンチャーの事例も)
  • 海外進出に関する共通課題の抽出と、課題解決指針の策定(販路開拓、製品保守体制の整備、現地人材の採用、事業拠点の整備、活動資金の獲得、現地の規制・届出を含む法務契約面の対応…等を纏めて「海外サイバー市場開拓マニュアル」を執筆)
  • 共同プロモーション活動を展開(海外展示会への出展、メディアへの露出)
  • 経済産業省・外務省など関連官庁とのタイアップを企画・調整

【第3章】WG始動

5月にキックオフした後は、月1回ペースで定例会を開催。当WGを“日本のサイバー防御製品を輸出する専門商社”に見立てた上で、機能別の3つの分科会を設置、それぞれ並行して具体的な検討作業を進める体制を整えた。

    1)製品サブWG:WG参加企業の製品・サービスをマッピングし、これらを組み合わせた「Made in Japan」のサイバー防御ソリューションをパッケージ化。これらを網羅した英文紹介資料などを纏めるグループ
    2)市場・法規制サブWG:ターゲット国の市場動向と法規制動向を調査し、当該国に進出するうえでの課題と解決策を纏めるグループ
    3)渉外サブWG:当WGとして参加するイベントの取り纏めや対外広報対応、関連省庁との渉外活動を展開するグループ

    「WGメンバー集めて、テーマ設定済ませて、サブWGも設置した。次はどうする?」
    「海外進出企業の先行事例を調査するんじゃないか?勉強会とか」
    「勉強会だけじゃな…目先に何かのイベントが無いと盛り上がらないよ」
    「7月下旬にシンガポールでRSA Conferenceが開催されるね」
    「もう6月だよ、準備期間が短かすぎ。出展の申込期限とっくに過ぎてるでしょ」
    「(ボソッ)まだ展示ブースは埋まってないらしいよ…JNSAにも出展の誘いが」
    「海外展示会への出展か…シンガポール行っちゃう?」
    「準備が間に合うか?製品紹介資料もパネルも何にも用意して無いのに」
    「気合入れれば何とかなるでしょ」
    「全ては気合!」
    「シンガポールへ、行きたいかーーッ!」
    「おおーーー!マーライオンの国に突撃だ!」

(後編「シンガポールに突撃!」に続く)



#連載リレーコラム、ここまで

<お断り>本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。


【部会・WG便り】
★「JNSAソリューションガイドサイト」に登録するJNSA会員企業さまの製品・サービス導入事例を募集中です。
登録希望の企業様は、以下URLからフォームをダウンロードし、必要事項をご記入の上、事務局 までご送付下さい。
 https://www.jnsa.org/dl/solguide_form.xlsx
締め切りは8月17日(月)です。(締め切り後も各社ご担当者様が管理画面から登録することは可能です)
【事務局からの連絡、お知らせ】
★JNSA設立15周年記念「JNSAセキュリティセミナー in 鹿児島」
 JNSA設立15周年記念イベントの一環として、今年は全国各地でセキュリティセミナーを展開します。
 第1回は九州・鹿児島市での開催です。
    日時:2015年9月4日(金)13時30分〜17時(13時開場)
  場所:サンプラザ天文館 6階Aホール
     〒892-0842 鹿児島市東千石町2-30
 プログラム・お申込みは↓こちら↓から
 https://www.jnsa.org/seminar/2015/0904/

★JNSA設立15周年記念シンポジウム
  日時:2015年10月15日(木)午後予定
  場所:ベルサール飯田橋駅前
シンポジウム終了後は飯田橋カナルカフェで15周年記念パーティを行います。JNSA会員の方はぜひ御参加下さい。(詳細は後日)
★登録情報にご変更がある方がいらっしゃいましたら、事務局までご一報をお願いいたします。


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発行: JNSA事務局 jnsa-mail
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